どうにもならないこと・・・三島由紀夫『新恋愛講座』

 「そして人生が、自分のよい意図、正しい意図、美しい意図だけでは、どうにもならないということを学んで、それに絶望して、だめになってしまう人は、人間としても伸びて行けない人だといわなければならない。」

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 いや、本当にそう思いました。

 これまでを思えば、挫折という挫折(もちろん些細な失敗は繰り返してきていますが)を味わってこなかった人生でした。それなりに努力して学業も、そして恋愛も違和感なく乗り越える。そのように生きてきた私にとって、今回の失恋は生まれて初めて物事が思い通りに進まなかった経験だったのかもしれません。

 今回の件で打ちひしがれ、その原因を自分に求めては自己嫌悪に苦しみ、他方面の人間関係、さらには学業や趣味までも投げやりになってきたところで、この一節を読みました。

 他者の気持ちとは、こちらがどう思っていても、どんなに強く思っていても、揺るがぬものは揺るがない。ですが、それはそういうものとして受け入れ(人生自分の思い通りにはいかない、言葉ではわかっていましたが、実際に直面することで初めて実感として理解しました)、絶望の淵に沈むのではなく、人生の糧にして生きていける活力が大切なのだろうと思いました。