穏やかな世界・・・若林正恭『社会人大学人見知り学部 卒業見込み』

 まず第一に、人からの忠告よりも自分の感覚に従う天邪鬼さを備えていた筆者。次第に、他者からの大方の指摘は大体正しく、自分の信念に従うというよりも世の中に迎合して「穏やか」な生き方をするようになります。

 しかし、自分で組み立てた論理(または憤り)に耳を傾けなくなった果てに待っていたものは、大好きなものを手放したような空虚感でした。

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 このエッセイを読んだ直後にブログを開設しようという気になり、勢いのままこの記事を書いています。

 このエッセイ集のタイトルにもあるような若林さんの気質には自分も共感するところがあり(だからこそこの本を読んでいるわけですが)、自意識や憤りに関する考え方も本質的には共通していました。そのような私の価値観、社会の冷たい波によって削り取られてしまうのではないか、そんな実感がこの頃あります。そして、その先にあるのは「空虚」。良くも悪くも拗れたこの感性がすり減りきる前に、なんとか記録として残しておこう、そういった衝動でブログを書いているわけです。

 飽き性なのですぐにやめる気がしますが、読んだ本の中で印象深い一節について思ったことを書いていこうかなと。一応全体に公開していますが、人に向けて書いているわけではなく自己満足の側面が強いです。